子宮膣部の表面がただれた状態になり、出血することも

子宮膣部の表面がただれた状態になるのが「子宮膣部びらん」です。"びらん"とはただれることを意味します。子宮の外側の入り口である「外子宮口」を中心とした部位は、もともとただれやすいため、女性の4人に1人、出産を経験した女性では2人に1人が膣部にびらんがあるとされています。

セックス時の出血は要注意

びらんは、膣部表面が赤くただれた状態から、出血があるものまでさまざまです。出血は、血の混じった茶褐色のおりものや、セックスの刺激での出血という形で現れます。ただし出血以外は痛みなどの症状もないため、本人が全く気付かないことも少なくありません。

びらんの原因は、女性ホルモン(エストロゲン)が関係しているされていますが、直接的には子宮頚管の細菌による炎症や出産をきっかけとして生じます。出産や流産を繰り替えている人は、膣部に傷を受けてそこから感染する率が高くなるので、びらんができやすいといえます。

びらんはそれ自体はがんではないので、心配いりません。しかし、重要なのは、それが全くの良性のびらんなのか、それともがん化するのかを見極めることです。梅毒によって起きるびらんもあるので、いずれにせよ、婦人科で原因を突き止める必要があります。

がんであるかどうかは、患部の組織学的診断や細胞診などでわかります。がんではない場合、炎症に対しての治療を行います。

炎症に対する治療は、主に錠剤の抗生物質(膣座薬)を膣に挿入します。外来治療で済みますが、治療を中止すると再発するケースが少なくありません。ある程度以上に進んだ炎症や、セックスのたびに出血があるような状態では、やはり根治的治療が必要となります。

治療法法としては、患部を切除する手術療法や電気で焼き切る方法、さらには冷凍療法など、さまざまな選択肢があります。いずれの方法も痛みは全くありません。

ごく軽いびらんであれば、経過観察で様子を見ることもありますが、症状が進んだり、出血がしばしば見られたりする場合には、根治治療を受けたほうがよいでしょう。