子宮筋腫は成熟期の女性の4人に1人にできる良性の腫瘍です

子宮筋腫は成熟期の女性に多く見られる、子宮にできる良性の腫瘍のことで、一つではなく複数できるのが一般的です。子宮の筋肉組織の一部が異常に発育しており、コブのようになっています。

若い女性の患者も増加中

子宮筋腫は婦人科で診察する機会が非常に多い病気で、30歳~50歳の女性の4人に1人は筋腫を持っているとされています。

近年は、それまで少なかった20代や30歳代前半の女性にもしばしば見られるようになり、子宮筋腫は増加傾向にあります。

命に直結する病気ではありませんが、若い人の場合、妊娠しにくくなったり(不妊症)、流産のリスクが高まる場合もありますので、注意が必要です。

なぜ筋腫ができるのか、その原因ははっきりわかっていませんが、誰もが先天的に持っている未分化の筋腫芽(子宮を構成する筋層内の細胞)が、女性ホルモン(エストロゲン)の影響で発育するのではないかと考えられてます。

子宮筋腫は以下の3つのタイプに分けることができますが、最も多いのは一番最初に紹介する「筋層内筋腫」となっています。

子宮内部のイラスト

筋層内筋腫
子宮は内側から内膜、筋層、漿膜(しょうまく)の3層によって構成されていますが、この筋層と呼ばれる部分にできる筋腫で、最もできやすいタイプです。

出血による貧血、不妊や流産の原因になることもありますが、筋腫が卵管の近い場所にできて卵管を圧迫したり、引き伸ばしたりしていると、不妊のリスクが生じます。

また、妊娠できてもホルモンの影響で筋腫が以上に大きくなり、流産や早産を引き起こすこともあります。

粘膜下筋腫
子宮の粘膜の下にできる筋腫で、子宮の内側に突き出る形で増殖していきます。痛みや出血による貧血を起こしたり、不妊・流産の原因になることもあります。

漿膜下筋腫
子宮の外側を覆う漿膜に向かってできる筋腫が増殖していくものです。症状は比較的軽いため、発見は難しいのですが、妊娠や出産に支障をきたすケースは稀です。

ただし、根元に茎がある(有茎性)筋腫は、何かの拍子でねじれてしまし、激しい腹痛が出ることがあります。このような場合は、緊急手術が必要なこともあります。

主な症状 説明
過多月経 筋腫に栄養を送る毛細血管から出血したり、子宮内膜の面積が増大することにより出血量が増えます。
貧血 過多月経で出血量が増えると、月経の都度、多くの鉄分が失われて鉄欠乏性貧血になります。めまい、倦怠感、手足の冷え、疲れやすいなどの症状は貧血を疑うサインです。
月経痛 筋腫を輩出しようと子宮が強く収縮するため、痛みを感じます。筋腫が大きくなるにつれて、痛みも増します。
圧迫症状 筋腫で周囲の臓器が圧迫されるため、その部位によって、下腹部痛や腰痛、頻尿、便秘などの症状が現れます。
性交痛 子宮の入り口付近に筋腫があると、セックスの挿入時に筋腫が押されて、子宮全体に痛みが走ります。
不妊 筋腫によって子宮の内腔が変形を起こし、受精卵が着床しにくくなったり、卵管を圧迫することで不妊になることがあります。

筋腫のできる場所、大きさによって症状は異なりますが、共通しているのは過多月経です。筋層や粘膜下にできる筋腫の場合は、筋腫によって子宮内膜の容積が大きくなる分、剥がれ落ちる内膜の量が多くなったり、子宮の収縮がスムーズにできなくなり、月経量が多くなったり、月経期間が長引いたりします。

月経痛も代表的な症状で、月経困難症を引き起こすこともあります。漿膜下筋腫の場合は子宮の外側に筋腫ができるので、大きくなっても過多月経はあまりみられません。

そのほか筋腫が大きくなると骨盤神経や膀胱、直腸を圧迫するため、腰痛、頻尿、便秘などの症状が出ることもあります。

これらの症状が気になって婦人科で診察を受け、医師による問診で子宮筋腫が疑われた場合、内診やエコー検査を実施して子宮筋腫の有無、位置、大きさなどを調べます。

筋腫が小さく目立った症状がない場合は、定期的に婦人科で診察を受ける経過観察で様子を見ます。過多月経による不正出血や、月経困難症の症状がつらい場合には、薬剤を投与して症状を緩和します。筋腫が大きくなり周囲の臓器を圧迫するもの、不妊症や流産の原因と考えられるものについては手術を行うこともあります。

子宮筋腫と紛らわしい病気に注意しましょう

子宮筋腫は我慢できない月経痛をはじめとした数々の不快な症状が現れますが、本来は「良性」の腫瘍ですから、がんに移行することはありません。

下腹部の痛み

しかし、子宮筋腫と似たような場所に発生し、症状も似ている「悪性」の腫瘍、子宮肉腫には注意が必要です。発生頻度は稀ですが、子宮肉腫に似ているため、手術前に確定診断がつかないことが多々あります。

子宮肉腫の特徴としては、筋腫に比べて成長スピードが速いこと、女性ホルモンで成長する筋腫は閉経後に発症することはありませんが、肉腫は閉経しても成長を続ける、という点が挙げられます。

筋腫と肉腫の区別にはMRI検査が有用ですが、判断がつかない場合は、腫瘍を採取して、顕微鏡で組織を調べる必要があります。治療は子宮を摘出する手術や、卵巣・卵管を切除する手術など、子宮体がんに準じた治療が行われますが、子宮体がんに比べると予後はあまりよくありません。

次に、子宮の状態や症状が筋腫とよく似ている病気として、子宮腺筋症を見てみましょう。この病気は、本来なら子宮内膜にあるべき組織が筋層に潜り込んで増殖して、子宮壁を厚くさせるものです。

厚くなった子宮壁は固くなり、月経時に収縮しにくくなるため、激しい月経痛を感じたり、月経量が増えたりします。日常の生活が困難になるほどの月経困難症になることも少なくありません。

子宮筋腫と同様に患者数が多く、症状が似ている病気としては、子宮内膜症も有名です。これは受精卵が着床する子宮内膜以外の場所、例えば腹膜や卵巣、卵管などに同じ組織が発生してしまうものです。

子宮内膜症は女性ホルモンの影響を受け、月経周期にあわせて増殖したり、剥離したりします。通常、子宮内膜は月経時に排出されますが、子宮以外の場所で成長すると血液の出口がないため、周囲の組織と癒着したり炎症を起こします。

その結果、月経時に我慢できない月経痛や腰痛、重症化すると月経時以外でも下腹部痛を感じるようになります。発生場所によっては不妊の原因にもなため、子宮内膜症の治療は今後、妊娠を希望するかを考慮して、薬物療法や手術療法が選択されます。